こんにちは!しゅのと申します。
この記事では、あいみょんさんの「マリーゴールド」(1番+アウトロ)のコード進行を分析し解説します。(作詞・作曲:あいみょん)
本記事は、音楽理論基礎を学んだことによって、理論を知る前よりもギターを弾くことが格段に楽しくなった凡人ギタリストによるコード進行分析・解説の備忘録となります。
2019年リリースし、一世を風靡したあいみょんさんの代表曲です。あいみょんさんの人を惹きつけるような歌声、サビの伸びやかさやキャッチーなところが特に好きな曲です。
原曲はこちら↓
コード譜、使用するコードの押さえ方については、別で記事を作成しています。この記事のコード進行分析の内容を理解するために、本記事と併せてご覧ください。
オススメアンプの記事も是非!このアンプに出会ってから、ギターの楽しさが何倍にもなりました。
以下は、私のお気に入りの「音楽理論の入門書」です。理論の基礎が非常にわかりやすくまとまっていて、楽しく音楽理論を学習することができますよ。
音楽理論に少しでも興味がある方、もしよければ手に取ってみてください。スムーズに理解が進み音楽理論を学んでみたいと思うこと間違いなしです。
それでは早速、コード進行の分析に入っていきましょう!
※記事の内容には細心の注意を払っていますが、分析違いや解釈の相違が発生する可能性も十分にございます。あくまで一個人の分析であることをあらかじめご了承いただけますと幸いです。
「マリーゴールド/あいみょん」コード進行分析
まずは、キー(Key)とダイアトニックコードを確認します。その後、パートごとに分けてコード進行の分析と解説をしていきます。
キー(Key)とダイアトニックコード
コード進行の分析には、その曲の「キー(Key)」と「ダイアトニックコード」の2つは欠かせません。
これらがわかることで、コード進行を度数(ディグリー)表記で理解することができるようになり、すべてのキー(Key)で汎用的にコード進行を分析することが可能になります。
この曲のキー(Key)は「Dメジャー」です。
「キー:Dメジャー」の三和音、四和音のダイアトニックコードは次のようになります。
● ダイアトニックコード(キー:Dメジャー)
Ⅰ | Ⅱm | Ⅲm | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅶm-5 |
D | Em | F#m | G | A | Bm | C#m-5 |
ⅠM7 | Ⅱm7 | Ⅲm7 | ⅣM7 | Ⅴ7 | Ⅵm7 | Ⅶm7-5 |
DM7 | Em7 | F#m7 | GM7 | A7 | Bm7 | C#m7-5 |
※以降「キー(Key)」はカタカナで「キー」と表記していきます
それでは、実際に『コード進行』を見ていきましょう〜!
理論の学習!今回も頑張っていきます。
度数表記とは?
「コード進行を度数・ディグリー表記で理解する方法」について、基本的な内容をまとめた記事を作成しています。「度数表記ってなに?」という方は、まずは以下記事をご覧ください。
イントロ
まずは「イントロ」です。コードは以下です。
「通常表記」と「度数表記」の2つを1セットとして掲載し、解説していきます。
[通常表記]
|D|A/C#|Bm|F#m7|
|G D/F#|G A|
「キー:Dメジャー」のダイアトニックコードに当てはめると、度数(ディグリー)表記では次のように表します。
[度数表記]
|Ⅰ|Ⅴ/Ⅶ|Ⅵm|Ⅲm7|
|Ⅳ Ⅰ/Ⅲ|Ⅳ Ⅴ|
このパートは全てダイアトニックコード内のコードが使われています。
「「Ⅴ/Ⅶ」「Ⅰ/Ⅲ」は?ダイアトニックコード一覧になくない?」と思われるかもしれませんが、主にその点について解説していきます。
Ⅰ/Ⅲ・Ⅴ/Ⅶ(第一展開形)
こちらサブタイトルにも記載しましたが、「Ⅰ/Ⅲ」「Ⅴ/Ⅶ」はコードの『第一展開形』です。
ダイアトニックコードの「I」「Ⅴ」の形が変わったものと考えてください。
「Ⅰ/Ⅲ」のコードは「Ⅰ」のルート音(コードの一番低い音)を「Ⅲ」にしたコードです。
このように、コードのルート音(一番低い音)を本来のルート音と違う音に変えたコードを『オンコード』と言います。
また、オンコードの中で、そのコードの3度の音をルート音にしたコードを『第一転回形』と呼びます。
第一転回形:コードの3度の音をルート(一番低い音)にしたコード
オンコード:分子のコードのルート(一番低い音)を分母に書いてある音に変更したコード
→今回は「Ⅰ/Ⅲ」「Ⅴ/Ⅶ」なのでそれぞれ以下となります。
・「Ⅰ/Ⅲ」・・・「Ⅰ」のルート音を「Ⅲ」にしたコード
・「Ⅴ/Ⅶ」・・・「Ⅴ」のルート音を「Ⅶ」にしたコード
なんで「第一転回形」にしているんだろう・・?
「第一転回形」に変形することで、ベース音が滑らかに繋がっているよ!
変形したコードを使うことで、「Ⅰ→Ⅴ/Ⅶ→Ⅵm」の部分が「Ⅰ」→「Ⅶ」→「Ⅵ」とベース音がメジャースケールの音を1つずつ隣の音に下降するように滑らかに繋がっています。
また、「Ⅳ→Ⅰ/Ⅲ→Ⅳ」の部分も「Ⅳ」→「Ⅲ」→「Ⅳ」とベース音がメジャースケールの隣の音かつ半音で滑らかに繋がるようになっています。
ここで、『メジャースケール』とは以下です。よく知らないよーという方は、関連記事を参照いただけますと嬉しいです。
メジャースケール:キーの中で使われる7つの音階
「キー:Cメジャー」の場合はCDEFGABC(ドレミファソラシド)
度数で表すと「1, M2, M3, 4, 5, M6, M7」
よく「全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音」の並び順になっていると説明されることが多い内容です。
『メジャースケール』について、細かい話をすると脱線してしまいますので、もし理解を深めたい方は詳細を解説した以下記事も是非ご覧ください。
Aメロ
続いて、「Aメロ」です。コード進行は以下です。
[通常表記](♪風の強さがちょっと〜)
|D|A/C#|Bm|A|
|G|D/F#|G|A|
|D|A/C#|Bm|A|
|G|D/F#|G|A|
[度数表記](♪風の強さがちょっと〜)
|Ⅰ|Ⅴ/Ⅶ|Ⅵm|Ⅴ|
|Ⅳ|Ⅰ/Ⅲ|Ⅳ|Ⅴ|
|Ⅰ|Ⅴ/Ⅶ|Ⅵm|Ⅴ|
|Ⅳ|Ⅰ/Ⅲ|Ⅳ|Ⅴ|
このパートも、全てダイアトニックコードで構成されています。イントロ同様に『第一転回形』が使われているため、ポイントを解説していきます。
Ⅰ/Ⅲ・Ⅴ/Ⅶ(第一展開形)
イントロパートと同様に『第一転回形』が使われています。
『第一転回形』の説明は少し上でしているのでイントロの記載を参照してください。
イントロ同様の考え方ですが、「Ⅰ→Ⅴ/Ⅶ→Ⅵm→Ⅴ」の部分は「Ⅰ」→「Ⅶ」→「Ⅵ」→「Ⅴ」とベース音がメジャースケールの音を1つずつ隣の音に下降するように滑らかに繋がっています。
また、「Ⅳ→Ⅰ/Ⅲ→Ⅳ→Ⅴ」の部分は「Ⅳ」→「Ⅲ」→「Ⅳ」→「Ⅴ」とベース音がメジャースケールの音を1つずつ隣の音に移動しており、滑らかに繋がっています。
Aメロは以上です。
Bメロ
続いて、「Bメロ」を見ていきましょう。コード進行はそれぞれ以下です。
[通常表記](♪目の前でずっと輝いている〜)
|Bm|F#m7|G|A|
[度数表記](♪目の前でずっと輝いている〜)
|Ⅵm|Ⅲm7|Ⅳ|Ⅴ|
こちら全てダイアトニックコード内のコードが素直にそのまま使われていることがわかります。
最後2小節「Ⅳ」→「Ⅴ」となっており、最後の「Ⅴ」のドミナントの緊張感で「サビ」への期待感が高まっているように感じます。
ドミナントコード:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコード
サビ
続いて、「サビ」を見ていきます。
[通常表記](♪麦わらの帽子の君が〜)
|D|A/C#|Bm|A|
|G|D/F# Bm|G|A|
|D|A/C#|Bm|A|
|G|D/F# Bm|G|A|
|D|A|
[度数表記](♪麦わらの帽子の君が〜)
|Ⅰ|Ⅴ/Ⅶ|Ⅵm|Ⅴ|
|Ⅳ|Ⅰ/Ⅲ Ⅵm|Ⅳ|Ⅴ|
|Ⅰ|Ⅴ/Ⅶ|Ⅵm|Ⅴ|
|Ⅳ|Ⅰ/Ⅲ Ⅵm|Ⅳ|Ⅴ|
|Ⅰ|Ⅴ|
こちらも全てダイアトニックコード内のコードが使われています。
少し違いはありますが、ほとんど「Aメロ」と同じコード進行になっていることがわかります。
Ⅰ|Ⅴ/Ⅶ|Ⅵm|Ⅴ
「Ⅰ→Ⅴ/Ⅶ→Ⅵm→Ⅴ」の部分は「Ⅰ」→「Ⅶ」→「Ⅵ」→「Ⅴ」とベース音がメジャースケールの音を1つずつ隣の音に下降するように滑らかに繋がっています。
『第一転回形』について、詳しくはイントロの記載を参照してください。
Ⅰ/Ⅲ Ⅵm
また、この部分もポイントがあります。
ベース音に注目すると、「Ⅲ」から「Ⅵ」の音は4度進行(強進行)であり、次のコードへの結びつきが強いです。
『4度進行(強進行)』とは、完全4度上(もしくは完全5度下)に進むコード進行であり、ギターの指板上でいうと以下2つが完全4度上(完全5度下)の位置関係となります。
「Ⅰ」のコードを第一転回形の「Ⅰ/Ⅲ」とすることで、強進行とすることができています。
アウトロ
最後は「アウトロ」です。
ここまで読んでいただきありがとうございます!あと少しだけお付き合いいただけると嬉しいです。
[通常表記]
|D|A/C#|Bm|F#m7|
|G|A|D|
[度数表記]
|Ⅰ|Ⅴ/Ⅶ|Ⅵm|Ⅲm7|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅰ|
「アウトロ」のコードは、ほとんどイントロと同じですね。
最後のところが少しだけ違うので、ポイントを解説します。
Ⅳ Ⅴ|Ⅰ
ダイアトニックコードの『主要三和音(3コード)』を「Ⅳ→Ⅴ→I」と並べたコード進行です。以下用語を解説します。
主要三和音(3コード):Ⅰ度、Ⅳ度、Ⅴ度にあたるコードを『主要三和音(3コード)』と呼ぶ
「キー:Cメジャー」の場合、C、F、G(CM7、FM7、G7) が主要三和音となる
コードの度数の並びの通り、『451進行』と呼ばれたりもします。基本的なコード進行であり、非常によく使われる進行です。是非響きも併せて覚えておけると良いですよ。
451進行:ダイアトニックコードの主要三和音(3コード)を「Ⅳ→Ⅴ→I」と並べたコード進行
「Ⅴ」→「Ⅰ」が最も基本的な『ドミナントモーション』であり、「Ⅴ(ドミナント)」の不安定な響きから安定した「Ⅰ(トニック)」に解決することで、非常に強い終始感(「終わった〜」という感じ)を表現することができます。
『ドミナント』と『ドミナントモーション』の用語の説明は以下です。超重要なので「知らなかった!」という方は是非この機会に覚えてしまいましょう。
ドミナントコード:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコード
ドミナントモーション:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコードからI(トニック)に向かうコード進行
確かに!すごく終わったという感じがするね♪
「451進行」は曲終わりでよく使われるよ!
ビシッと綺麗に終わる王道の終わり方だね。
まとめ
まずは、ここまで本当にお疲れ様でした!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。少しでも皆様にとって意味のある記事が書けていたら嬉しいです。
今回はあいみょんさんの「マリーゴールド」(1番+アウトロ)のコード進行を分析・解説してみました。
- 第一転回形
- ベース音の滑らかな繋がり(メジャースケール、半音)
- 4度進行(強進行)
- ドミナントコード
- ドミナントモーション
- 主要三和音
- 451進行
など、様々な音楽理論知識、アイデア等、学べるポイントがありました。
分析をしたことで、音楽理論の観点で見てもとても興味深い曲であるということを実感しました。
あいみょんさんの明るく伸びやかな歌声や曲調は勿論ですが、個人的にはサビの歌詞がとても好きです。
まだまだ勉強中の身ですが、ギター上達と音楽理論の理解を深めることを目指し、引き続きコード進行分析に挑戦していこうと思います。(興味のある方は是非一緒に学習しましょう!)
以下、記事冒頭でも述べました「音楽理論の学習におすすめの本」を紹介しておきます。
私はこの方の説明が本当にわかり易く、理解が進み音楽理論が楽しく学べるようになりました。
その他も色々な記事を書いていますので、よかったら覗いていってもらえたら嬉しいです!
それではまた。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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