こんにちは、しゅのです。
この記事では、大人気アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」
結束バンド「青春コンプレックス」(TV Size)のコード進行について、ポイントを解説していきます。(作詞:樋口愛 作曲:草野華余子 編曲:三井律郎)
原曲はこちら↓
本記事は、音楽理論の基礎を学んだことで、ギターが飛躍的に楽しくなった、凡人ギタリストによるコード進行分析の備忘録となります。
コード譜、および度数表記に変換したコード譜については以下記事に掲載しておりますので併せてご覧ください。
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※内容には細心の注意を払っておりますが、間違いや解釈の相違が発生する可能性も十分ございますのでご了承ください。
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「青春コンプレックス」コード進行解説
それでは、早速コード進行を見ていきましょう。
キー(Key)とダイアトニックコード
まずは、キー(Key)とダイアトニックコードからです。コード進行の分析にはこの2つは欠かせません。
これらがわかることで、コードを度数(ディグリー)で把握することができ、すべてのキーで汎用的にコード進行を分析することが可能となります。
キー(Key)は、Fメジャー(=Dマイナー)です。
Fメジャーの平行調はDマイナーです。基本的には、わかり易くするために本記事ではメジャーキーで考えて分析しています。
三和音、四和音のダイアトニックコード一覧は以下表に示します。
ダイアトニックコード(Key:Fメジャー)
Ⅰ | Ⅱm | Ⅲm | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅶm-5 |
F | Gm | Am | B♭ | C | Dm | Em-5 |
ⅠM7 | Ⅱm7 | Ⅲm7 | ⅣM7 | Ⅴ7 | Ⅵm7 | Ⅶm7-5 |
FM7 | Gm7 | Am7 | B♭M7 | C7 | Dm7 | Em7-5 |
度数表記とは?
「コード進行を度数・ディグリー表記で理解する方法」について、基本的な内容をまとめた記事を作成しています。「度数表記ってなに?」という方は、まずは以下記事をご覧ください。
イントロ
[イントロのコード進行]
|Ⅰ|♭Ⅶ|
|Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm|休|Ⅳ Ⅴ Ⅰ|休|
|Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm|休|Ⅳ Ⅴ Ⅰ|休|
パートごとに分けて見ていきます。まずは、イントロから見ていきましょう〜!
Ⅰ|♭Ⅶ
Ⅰは三和音のダイアニック内のコードです。♭Ⅶは同主短調(Fマイナー)からの借用と考えられます。
最初にノンダイアトニックコードを入れることで少しふわっとした印象、意外性を与えられているように感じます。
Key:Fマイナーのダイアトニックコードは次の表のようになります。
Ⅰm | Ⅱm-5 | ♭Ⅲ | Ⅳm | Ⅴm | ♭Ⅵ | ♭Ⅶ |
Fm | Gm-5 | A | B♭m | Cm | D | E |
Ⅰm7 | Ⅱm7-5 | ♭ⅢM7 | Ⅳm7 | Ⅴm7 | ♭ⅥM7 | ♭Ⅶ7 |
Fm7 | Gm7-5 | AM7 | B♭m7 | Cm7 | DM7 | E7 |
同主短調:あるメジャーキーから見て、主音が同じマイナーキーのこと
(例:Cメジャーの同主短調はCマイナー、Aメジャーの同主短調はAマイナー)
このように別のキー(調)から和音(コード)を一時的に借りることを「借用」と呼びます。
へぇ〜。主音が同じマイナーキーのコードから、一部コードを借りて使うことができるんだぁ〜。面白い!
Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm
Ⅳ、Ⅵmは普通の三和音のダイアトニックコードです。
Ⅲ7は通常Ⅲm(Ⅲm7)のところをセブンスコードとして使っています。これは「セカンダリードミナント」と呼ばれる手法です。
Ⅲ7(A7)の次のⅥmのコード(Dm)をⅠ番目のコードと見立てた場合にドミナントであるⅤ番目のコードはⅢ7(A7)となります。つまり「Ⅲ7→Ⅵm」というドミナントモーションになってます。
ドミナントコード:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコード
ドミナントモーション:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコードからI(トニック)に向かうコード進行
ドミナントであるⅤの不安定な響きから安定したⅠ(トニック)に向かいたくなる強い結びつきがあり、その性質を利用しています。
完全4度上(もしくは完全5度下)に進むコード進行になっており「強進行」とも呼ばれています。ギター指板上でいうと以下2つが完全4度上(完全5度下)の位置関係となります。
最もわかりやすいキーCで考えると、GからCは完全4度上であり完全5度下の音です。
借用元である、キー:Dmのダイアトニックコードは次の表の通りです。
Ⅰm7 | Ⅱm7-5 | ♭ⅢM7 | Ⅳm7 | Ⅴm7 | ♭ⅥM7 | ♭Ⅶ7 |
Dm7 | Em7-5 | FM7 | Gm7 | Am7 | ♭BM7 | C7 |
このⅤm7(Am7)をⅤ7(A7)にドミナント化して使用しています。(厳密にはハーモニックマイナーキーのダイアトニックコードとなりますが、こちらはまたの機会に)
Fメジャーキーの中で、一瞬Dmキーのドミナントモーションを利用しています。このように、一度以外のコードをⅠ番目のコードとして別のキーを考えて、そのキーの「Ⅴ→Ⅰ」のドミナントモーションを作るコードをセカンダリードミナントと呼びます。
セカンダリードミナント:ダイアトニックコード「I」以外のコードに対してドミナントモーションを作るために「V7」としたコード
「Ⅳ→Ⅲ7→Ⅵm」は通称「丸の内サディスティック進行」と呼ばれている進行の一部です。とてもよく使われているので覚えておきましょう。
丸の内サディスティック進行:ⅣM7→Ⅲ7→Ⅵm→Ⅴm→Ⅰ7
上記進行を繰り返して使用することが多いのですが、その場合
「Ⅲ7→Ⅵm」がドミナントモーション、「Ⅰ7→ⅣM7」もドミナントモーションとなります。
そのため、次のコードへ向かう強い結びつきが感じられるためとても気持ちの良い進行となります。
Ⅳ Ⅴ Ⅰ
この進行は、至って普通のダイアトニックコード内のコードのみを使った進行ですね。シンプルでわかりやすいです。
「S→D→T」の流れで、S(サブドミナント)からD(ドミナント)に行って緊張し、最後主音であるT(トニック)に解決するという王道なドミナントモーションの進行です。
とてもシンプルな進行ですが、非常によく出てくるコードなので、ぜひ頭に入れておきましょう。
Aメロ
[Aメロのコード進行]
|Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm7|休|Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm7|休|
|Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm7|休|Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm7|休|
|Ⅳ Ⅲ7|Ⅵm|Ⅱm #Ⅰ|Ⅰ|
続いて、Aメロです。前半は、イントロで出てきた「Ⅳ Ⅲ7 Ⅵm7」と全く同じですね。
最後の「Ⅱm #Ⅰ|Ⅰ」を見てみましょう。
Ⅱm #Ⅰ|Ⅰ
ベースラインがⅡ→#Ⅰ→Ⅰと半音で滑らかにつながっています。ノンダイアトニックコードである#Ⅰを経過音として使っているイメージと思われます。
ベースラインを半音で繋ぐことで滑らかな進行となります。こちらもよく使われる手法なので是非覚えておけると良いですよ。
Bメロ
[Bメロのコード進行]
|Ⅳ Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅳ Ⅲ7|Ⅵm7|
|Ⅳ Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅱm7 Ⅲ7|Ⅳ|
|Ⅰsus4
Bメロを見ていきます。こちらも、Aメロと共通の進行が見られます。
Ⅱm7 Ⅲ7|Ⅳ|Ⅰsus4
2番目のコードから3番目のコードの素直な進行ですね。Ⅲ7がⅥm7へとここでは繋がりませんが、
その手前までの流れを踏襲してそのままⅢ7を使っているものと思われます。
ⅢからⅣにダイアトニックコード内で素直に移動し、最後Ⅰsus4が使われています。Ⅰsus4は3度の音を4度に吊り上げたコードで宙ぶらりんなイメージを持ったコードです。
サビ前でsus4を使うことによって、少し浮遊感を感じさせ、サビへの期待感を高めているような印象を受けました。
サビ
[サビのコード進行]
[1回し目]
|Ⅳ|Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅵm7|
|Ⅱm7|Ⅲ7|Ⅵm7|♭Ⅶ|
|Ⅳ|Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅰ|
|Ⅱm7|Ⅲm7|Ⅳ|Ⅴ|
[2回し目]
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵm7|
|Ⅱm7|Ⅲ7|Ⅵm7|♭Ⅶ|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵm7|
|Ⅱm7|Ⅲ7|Ⅳ|Ⅴ|
それでは、いよいよサビに入っていきます。
Ⅱm7|Ⅲ7|Ⅵm7|♭Ⅶ
「Ⅲ7→Ⅵm7」のセカンダリードミナントはAメロ、Bメロと同じですね。
最後の「Ⅵm7→♭Ⅶ」はイントロで解説した同主短調の借用です。
♭Ⅶは同主短調(Fマイナー)からの借用と考えられます。Ⅵから♭Ⅶで半音繋がりで滑らかな繋がっており、また一瞬別のキーに感じられるため意外性があります。
Ⅱm7|Ⅲm7|Ⅳ|Ⅴ
ここは、ダイアトニックコードをⅡからⅤまで順に弾いていく非常に素直な進行です。
このダイアトニックコードの隣のコードに進む進行は「順次進行」と呼ばれています。
Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵm7
ここは、みんな大好き「王道進行」がそのまま使われています。
「Ⅲ→Ⅵ」はルート音が完全4度上(完全5度下)の強進行となっており、次のコードへの結びつきを強く感じる気持ちの良い進行です。
王道進行:Ⅳ→Ⅴ→Ⅲm7→Ⅵm7
アウトロ
[アウトロのコード進行]
|Ⅳ Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅱm7 Ⅲ7|Ⅰ|
|Ⅳ Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅵm7 Ⅴ7 Ⅰ|
いよいよ、最後のアウトロです。こちらはほぼダイアトニックコードを合わせたシンプルな進行となっていますね。
Ⅵm7 Ⅴ7 Ⅰ
Ⅵから「順次進行」で隣のⅤに行って、最後「Ⅴ7→Ⅰ」のドミナントモーションでバシっと締めています。
まとめ
まずは、ここまでお疲れ様でした!
今回は「ぼっち・ざ・ろっく!」結束バンドの「青春コンプレックス」(TV Size)のコード進行を自分なりに分析し、解説してみました。
- セカンダリードミナント
- 同主短調からの借用
- ベースラインの半音移動
などを筆頭に、様々なアイデア満載の素晴らしい曲に仕上がっていることがわかりました。
まだまだ、勉強中の身ですが、ギター上達と音楽への理解を深めるため、コード分析に挑戦していこうと思います。(興味のある方は、ぜひ一緒に学習してみてください)
以下、音楽理論の学習におすすめの本を紹介しておきます。私はこの方の説明が特にわかり易くて、本当に救われました。
ではでは。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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