裸の勇者/Vaundy コード進行分析・解説!

音楽理論

こんにちは!しゅのです。

この記事では、Vaundyさんの裸の勇者(TV Size)のコード進行分析解説します。(作詞・作曲:Vaundy)

この記事で解決できるお悩み
  • 「裸の勇者/Vaundy」の
    • Key(キー)を知りたい
    • コード進行を知りたい
    • コード進行を分析したい

大人気アニメである「王様ランキング」第2クールのOPでもあり、当時はどハマりしていてギターを手に取ってはこの曲を弾いて楽しんでいました。

全体的にシンプルなコード進行で構成されていますが、非常に良い曲でお気に入りです。

原曲はこちら↓

裸の勇者 / Vaundy:MUSIC VIDEO(YouTube)

本記事は、音楽理論基礎を学んだことで、理論を学習する前よりもギターを弾くことが飛躍的に楽しくなった凡人ギタリストによるコード進行分析・解説の備忘録となります。

コード譜、使用するコードの押さえ方については、別で記事を作成しています。コード進行分析の内容を理解するために、本記事と併せてご覧ください。

オススメアンプの記事も是非!このアンプに出会ってから、ギターの楽しさが何倍にもなりました

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それでは早速、コード進行の分析に入っていきましょう!

※記事の内容には細心の注意を払っていますが、分析違いや解釈の相違が発生する可能性も十分にございます。あくまで一個人の見解であることをご留意いただけますと幸いです。

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「裸の勇者/Vaundy」コード進行分析

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まずは、キー(Key)ダイアトニックコードを確認します。その後、パートごとに分けてコード進行の分析・解説をしていきます。

キー(Key)とダイアトニックコード

コード進行の分析には、その曲の『キー(Key)』『ダイアトニックコード』の2つは欠かせません。

これらがわかることで、コード進行を度数(ディグリー)表記で理解することができるようになり、すべてのキー(Key)で汎用的にコード進行を分析することが可能になります。

この曲のキー(Key)「Cメジャー」です

キー:Cメジャー」の三和音、四和音のダイアトニックコードを次の表に示します。

ダイアトニックコード(キー:Cメジャー)

ⅡmⅢmⅥmⅦm-5
CDmEmFGAmBm-5
Key:Cメジャーの三和音のダイアトニックコード一覧
ⅠM7Ⅱm7Ⅲm7ⅣM7Ⅴ7Ⅵm7Ⅶm7-5
CM7Dm7Em7FM7G7Am7Bm7-5
Key:Cメジャーの四和音のダイアトニックコード一覧

※以降『キー(Key)』はカタカナで「キー」と表記していきます

しゅの
しゅの

それでは、実際に『コード進行』を見ていきましょう!

理論を学ぶ犬
理論を学ぶ犬

よし!音楽理論について勉強してみよう♪

度数表記とは?

「コード進行を度数・ディグリー表記で理解する方法」について、基本的な内容をまとめた記事を作成しています。「度数表記ってなに?という方は、まずは以下記事をご覧ください。

コード譜の見方(ポイント)
  • ”|”は「1小節の区切り」を表しています
  • ”休” は「何もコードを弾かない」を表しています

Aメロ

まずは「Aメロ」です。コードは以下です。

通常表記」と「度数表記」の2つを1セットとして掲載し、解説していきます。

[通常表記](♪誰かが今涙を 飲み込んで〜)
|Am|Am|C|C| 
|G|G#dim|Am|Am|

「キー:Cメジャー」のダイアトニックコードに当てはめると、度数(ディグリー)表記では次のように表します。

[度数表記](♪誰かが今涙を 飲み込んで〜)
|Ⅵm|Ⅵm|Ⅰ|Ⅰ| 
|Ⅴ|#Ⅴdim|Ⅵm|Ⅵm|

基本的にダイアトニックコード内のコードで構成されていますが、ダイアトニックコード外のコードが使われていて、1点だけ理論的に知っておきたいポイントがあるので解説します。

ちなみに、ダイアトニックコード外のコードのことを『ノンダイアトニックコード』と呼びます。以降はこちらの用語を使っていきます。

ノンダイアトニックコード:ダイアトニックコード以外のコードのこと

Ⅴ|#Ⅴdim|Ⅵm

一見シンプルなコード進行ですが、ノンダイアトニックコードである「#Ⅴdim」に注目してみましょう。

これは『パッシング・ディミニッシュ』と呼ばれている手法です。

全音差の「Ⅴ」「Ⅵm」の間にこのコードを挟むことによって、コードのベース音が「Ⅴ→#Ⅴ→Ⅵ」と半音で滑らかに上昇しています。

また、「Ⅴ」のコードと「Ⅵm」のコードの間の経過音としてディミニッシュコードの不安定な響きが入ることで、少し引っ掛かりを感じるかと思います。

この不安定なコードの引っ掛かりのある感じによって、不思議で魅力的な印象を与えることができると考えられます。

パッシング・ディミニッシュ:全音差の2つのコードの間に差し込んでコードの繋がりを滑らかにするディミニッシュコードのこと

その他はダイアトニックコードを素直に使っていますね。

それでは、次のパートを見ていきましょう。

Bメロ

続いて「Bメロ」を見ていきます。コード進行はそれぞれ以下です。

[通常表記](♪力が伴う 悪意振り解いて〜)
|F|G|Am|Am|
|F|G|Am|Am|
|F|G|Am|Am|
|F|F|E|

[度数表記](♪力が伴う 悪意振り解いて〜)
Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅳ|Ⅲ|

このパートも、基本はダイアトニックコード内のコードで構成されています。ノンダイアトニックコード・頻出のコード進行があるため、その辺りを中心に見ていきます。

Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm

ここは、ダイアトニックコードを「Ⅳ」から「Ⅵm」まで順に弾いていく素直な進行です。このようにダイアトニックコードの隣のコードに進む進行『順次進行』と呼びます。

順次進行:ダイアトニックコードの隣のコードに進む進行

段々とコードを駆け上がっていき、盛り上がりと期待感を感じられる進行であると思います。

『順次進行』の中でも、この「Ⅳ→Ⅴ→Ⅵm」の進行は本当に色々な曲で使われているので、響きも含めて覚えておけるととても良いですよ。

『456進行』と呼ぶこともあり、そのような名称で頭に入れておくと覚えやすく、聞いたときに「あ、これは『456進行』だ!」とわかるようになってくるため耳コピにも活かすことができます。

続いてこちら。ノンダイアトニックコード「Ⅲ(メジャー)」です。

サビ前の1小節で、通常ダイアトニックコードの3番目のコードは「Ⅲm(Ⅲm7)」のところ、「Ⅲ」とメジャーコードが使われています。

サビ直前で、あえてノンダイアトニックコードを使うことで、少し不安定で不気味な響きのコードをサビ前に持ってくることができます。

このように、不安定な響きの後に安定したコード(ダイアトニックコードのしかもメジャーコード)に行くことで、サビでの盛り上がりや爆発力が増しているように感じます。

もう少し理論的な観点での話をするために、コードの構成音を確認してみましょう。

「Ⅲ」は三和音のメジャーコードであり、「1度(Ⅲ)、長3度(Ⅴ#)、5度(Ⅶ)」で構成されています。

通常の「Ⅲm」との構成音の比較はこちらです。

  • 「Ⅲ」:「1度(Ⅲ)、長3度(Ⅴ#)、5度(Ⅶ)」
  • 「Ⅲm」:「1度(Ⅲ)、短3度(Ⅴ)、5度(Ⅶ)」

3度の音が、マイナーコード、メジャーコードとの違いで本来「Ⅴ」であるところが「Ⅴ#」となっています。

この「Ⅴ#」の音がダイアトニックコードの元になるメジャースケールには含まれない音であり、不安定な響きを生み出しています。

また、『メジャースケール』について知らない方もいると思いますので、少し解説します。

解説記事を別途作成しているので、よく知らないなという方は参照いただけると嬉しいです。

メジャースケール:キーの中で使われる7つの音階
「キー:Cメジャー」の場合はCDEFGABC(ドレミファソラシド)
度数で表すと「1, M2, M3, 4, 5, M6, M7」

全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音」の並び順になっていると説明される、あの内容です。

『メジャースケール』について、細かい話をすると脱線してしまうので、もし理解を深めたい方は詳細を解説した以下記事をご覧ください。

サビ

続いて、「サビ」を見ていきましょう。

[通常表記](♪愛してしまった全部全部〜)
|F|G|Am|Am|
|F|E|Am|Am|
|F|G|Am|Am|
|F|G|C|C|

[度数表記](♪愛してしまった全部全部〜)
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅲ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅰ|Ⅰ|

こちらも基本的にはダイアトニックコード内のコードが使われています。ノンダイアトニックコード、頻出のコード進行があるので、その辺りを中心に解説します。

Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm

まずはこちら。

「Bメロ」で解説した、『順次進行』かつ『456進行』です。(詳細はBメロの記載を参照ください)

Ⅲ|Ⅵm

続いてこちら。「Ⅲ」がノンダイアトニックコードですね。

こちらは、音楽理論的には『セカンダリードミナント』と呼ばれる手法です。

「Ⅲ(E)」の次の「Ⅵm(Am)」をⅠ番目のコードと見立てた場合

『ドミナント』であるⅤ番目のコードは「Ⅲ(E)」となります。つまり「Ⅲ→Ⅵm」というドミナントモーションが成立します。

ここで、理解するために必要な『ドミナント』『ドミナントモーション』の用語説明を載せておきます。「知らなかった!」という方は是非この機会に覚えてしまいましょう。

ドミナントコード:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコード

ドミナントモーション:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコードからI(トニック)に向かうコード進行

『ドミナント』であるⅤの不安定な響きから安定したⅠ(トニック)に向かいたくなる強い結びつきがあり、その性質を利用しています。

完全4度上(もしくは完全5度下)に進むコード進行になっており『強進行』とも呼ばれています。ギターの指板上でいうと以下2つが完全4度上(完全5度下)の位置関係となります。

完全4度上、完全5度下のギター指板上の位置関係
指板上での完全4度上(完全5度下)の位置関係

最もわかりやすい「キー:C」で考えると、ダイアトニックコードの5番目のコードである「G(G7)」ドミナントコードです。そして、GからCは完全4度上であり完全5度下の音です。

「Ⅵm(Am)」を1番目のコードと見立てた場合「キー:Aマイナー」のダイアトニックコードは次の表のようになります。

ⅠmⅡm-5♭ⅢⅣmⅤm♭Ⅵ♭Ⅶ
AmBm-5CDmEmFG
三和音のダイアトニックコード一覧(キー:Aマイナー)

この「Ⅴm(Em)」を「Ⅴ(E)」にドミナント化(ドミナントに変形)して使用しています。

(厳密にはハーモニックマイナーキーのダイアトニックコードとなりますが、こちらはまた別の機会に)

キー:Cメジャー」の曲の中で、一瞬だけ「キー:Aマイナー」の『ドミナントモーション』を利用している。という様に考えることができます。

このように、Ⅰ度以外のコードを1番目のコードとして別のキーを考え、その別のキーの「Ⅴ→Ⅰ」の『ドミナントモーション』を作るためのコードを『セカンダリードミナント』と呼びます。

セカンダリードミナント:ダイアトニックコード「I」以外のコードに対してドミナントモーションを作るために「V(Ⅴ7)」としたコード

Ⅳ Ⅴ|Ⅰ

続いてこちら。ダイアトニックコードの『主要三和音(3コード)』「Ⅳ→Ⅴ→I」と並べたコード進行です。以下用語を解説します。

主要三和音(3コード)Ⅰ度、Ⅳ度、Ⅴ度にあたるコード
「キー:Cメジャー」の場合、C、F、G(CM7、FM7、G7) が主要三和音

度数の並びの通り、『451進行』と呼ばれたりもします。とても基本的なコード進行であり、非常に様々な曲でよく使われています。響きも併せて覚えておけると良いですよ。

451進行:ダイアトニックコードの主要三和音(3コード)「Ⅳ→Ⅴ→I」と並べたコード進行

「Ⅴ」→「Ⅰ」が最も基本的な『ドミナントモーション』であり、「Ⅴ(ドミナント)」の不安定な響きから安定した「Ⅰ(トニック)」に解決することで、非常に強い終始感(「終わった〜」という感じ)を表現することができます。

『ドミナント』『ドミナントモーション』の用語の説明は、先ほどの解説を参照ください。

理論を学ぶ犬
理論を学ぶ犬

本当だ!すごく終わったという感じがするね〜。

しゅの
しゅの

「451進行」は曲終わりでよく使われるよー!

ビシッと綺麗に終わる王道の終わり方だね。

ラスサビ

最後に、「ラスサビ」を見ていきましょう。

あと少しです!もうちょっとだけお付き合いいただけると嬉しいです。

[通常表記](♪力が伴う 悪意振り解いて〜)
|F|G|Am|Am|
|F|G|Am|Am|
|F|G|Am|Am|
|No Code|

[度数表記](♪力が伴う 悪意振り解いて〜)
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|No Code|

Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm

「ラスサビ」ですが、全てこの進行で弾ききっていますね。

「Bメロ」「サビ」と全く同じ進行で、『順次進行』かつ『456進行』です。(詳細はBメロの記載を参照ください)

まとめ

王冠の画像

最後にまとめです。まずは、ここまで本当にお疲れ様でした!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。少しでも皆様にとって意味のある、そして読んでいて楽しめるような記事が書けていたら嬉しいです。

今回はVaundyさんの裸の勇者(TV Size)のコード進行を分析・解説しました。

  • ノンダイアトニックコード
  • パッシング・ディミニッシュ
  • 順次進行
  • 456進行
  • メジャースケール
  • セカンダリードミナント
  • 4度進行(強進行)
  • ドミナントコード
  • ドミナントモーション
  • 主要三和音(3コード)
  • 451進行

など、様々な音楽理論の知識、アイデア等、学べるポイントが沢山ありました。

また、コード進行の分析をしたことにより、音楽理論の観点で見てもとても興味深い曲であるということを実感できました。

この曲は、全体的にコード進行が結構シンプルでありながら、音楽理論的に頻出の手法なども体感でき、初心者さんにとっても非常にオススメです。

一度頑張って弾けるようになってしまえば、パッとギターを手にとってかき鳴らして楽しむことができ、とても素晴らしい曲ですよ。

理論的に難しいと思っても、弾けることで見えてくることも多いので、是非、まずは弾けるようになるところからチャレンジしてみてください!

絶賛勉強中の身ですが、ギター上達と音楽理論の理解を深めることを目指し、引き続きギター演奏とコード進行分析に挑戦していこうと思います!(興味のある方は是非一緒に学習しましょう)

以下、記事冒頭でも述べました「音楽理論の学習におすすめの本」を紹介しておきます。
私はこの方の説明が本当にわかり易く、スラスラと理解が進んで音楽理論が楽しく学べるようになりました。

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その他も様々な記事を書いていますので、よかったら覗いていってもらえたら嬉しいです!

それではまた。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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