こんにちは!しゅのと申します。
この記事では、結束バンドさんの「ギターと孤独と青い惑星」(1番+アウトロ)のコード進行を分析し解説します。(作詞:ZAQ 作曲:音羽-Othoha-)
大人気アニメである「ぼっち・ざ・ろっく」の劇中歌でもあります。アニメの中でのぼっちちゃんの覚醒シーンは痺れました…。
アニメで聴いてからすぐに結束バンドの曲にハマり、鬼リピするほどお気に入りの曲です。サビはシンプルなオクターブ奏法で弾き切っていますが、とてもビシッと決まっていてかっこいいです。
原曲はこちら↓(アニプレックス公式が投稿してくれています)
つい最近には「THE FIRST TAKE」にも出演されていましたね!とても素晴らしい動画でした。
本記事は、音楽理論基礎を学んだことによって、理論を学習する前よりもギターを弾くことが飛躍的に楽しくなった凡人ギタリストによるコード進行分析・解説記事です。
コード譜、使用するコードの押さえ方については、別で記事を作成しています。コード進行分析の内容を理解するために、本記事と併せてご覧ください。
以下は、私のお気に入りの「音楽理論の入門書」です。理論の基礎がとてもわかりやすくまとまっていて、音楽理論を楽しくスムーズに学習することができオススメです。
音楽理論に少しでも興味がある方、よければ手に取ってみてください。スラスラと理解が進み、もっと音楽理論を学んでみたいと思うこと間違いなしです。
それでは早速、コード進行の分析に入っていきましょう!
※記事の内容には細心の注意を払っていますが、分析違いや解釈の相違が発生する可能性も十分にございます。あくまで一個人の見解であることをあらかじめご了承いただけますと幸いです。
「ギターと孤独と青い惑星/結束バンド」コード進行分析
「ギターと孤独と青い惑星/結束バンド」を聴く!(Amazon Music)
まずは、キー(Key)とダイアトニックコードを確認します。その後、パートごとに分けてコード進行の分析・解説をしていきます。
キー(Key)とダイアトニックコード
コード進行の分析には、その曲の『キー(Key)』と『ダイアトニックコード』の2つは欠かせません。
これらがわかることで、コード進行を度数(ディグリー)表記で理解することができるようになり、すべてのキー(Key)で汎用的にコード進行を分析することが可能になります。
この曲のKey(キー)は「Aメジャー」です。
「キー:Aメジャー」の三和音、四和音のダイアトニックコードは次のようになります。
● ダイアトニックコード(キー:Aメジャー)
Ⅰ | Ⅱm | Ⅲm | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅶm-5 |
A | Bm | C#m | D | E | F#m | G#m-5 |
ⅠM7 | Ⅱm7 | Ⅲm7 | ⅣM7 | Ⅴ7 | Ⅵm7 | Ⅶm7-5 |
AM7 | Bm7 | C#m7 | DM7 | E7 | F#m7 | G#m7-5 |
※以降『キー(Key)』はカタカナで「キー」と表記していきます
それでは、実際に『コード進行』を見ていきましょう〜!
ぼざろの曲を理論で分析!ワクワク♪
度数表記とは?
「コード進行を度数・ディグリー表記で理解する方法」について、基本的な内容をまとめた記事を作成しています。「度数表記ってなに?」という方は、まずは以下記事をご覧ください。
イントロ
まずは「イントロ」です。コードは以下。「通常表記」と「度数表記」の2つを1セットとして掲載し、解説していきます。
[通常表記]
|F#m E|A E|F#m E|A E|
|F#m E|A E|D|E|
|F#m|F#m|
「キー:Aメジャー」のダイアトニックコードに当てはめると、度数(ディグリー)表記では次のように表します。
[度数表記]
|Ⅵm Ⅴ|Ⅰ Ⅴ|Ⅵm Ⅴ|Ⅰ Ⅴ|
|Ⅵm Ⅴ|Ⅰ Ⅴ|Ⅳ|Ⅴ|
|Ⅵm|Ⅵm|
このパートは全てダイアトニックコード内のコードが使われています。素直なコード進行で構成されていますが、1点だけ理論的に紹介したいことがあるので解説します。
Ⅳ|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
とてもシンプルな進行ですよね。
ダイアトニックコードを4番目から5番目、そして6番目と1つずつ次のコードに上がっていっています。
このように、ダイアトニックコードの隣のコードに進む進行を『順次進行』といいます。
非常に素直で気持ちの良い進行ですが、汎用性も高く様々な曲で使用されています。是非この機会に覚えてみてください。
順次進行:ダイアトニックコードの隣のコードに進む進行
ダイアトニックコードを1つずつなぞっており、音程も急に飛ばないため安心感があります。また、この安心感がこの後の展開への期待感を高めているように感じます。
Aメロ
続いて、「Aメロ」です。コード進行は以下です。
[通常表記](♪突然降る夕立 あぁ傘もないや嫌〜)
|D|D|D|D|
|F#m|F#m|F#m|E|
|D|D|D|D|
|F#m|F#m|F#m|E|
[度数表記](♪突然降る夕立 あぁ傘もないや嫌〜)
|Ⅳ|Ⅳ|Ⅳ|Ⅳ|
|Ⅵm|Ⅵm|Ⅵm|Ⅴ|
|Ⅳ|Ⅳ|Ⅳ|Ⅳ|
|Ⅵm|Ⅵm|Ⅵm|Ⅴ|
このパートも、全てダイアトニックコードで構成されています。
いずれもダイアトニックコードの三和音の方で、「Ⅳ」「Ⅴ」「Ⅵm」の3つだけが使われていて非常にシンプルで素直、まとまりのあるコード進行であると感じます。
Bメロ
続いて、「Bメロ」を見ていきます。コード進行は以下です。
[通常表記](♪息も出来ない 情報の圧力〜)
|DM7|C#|F#m|A|
|DM7|C#|F#m|F#m|
|DM7|E|F#m|A|
|DM7|E|C#|C#|
[度数表記](♪息も出来ない 情報の圧力〜)
|ⅣM7|Ⅲ|Ⅵm|Ⅰ|
|ⅣM7|Ⅲ|Ⅵm|Ⅵm|
|ⅣM7|Ⅴ|Ⅵm|Ⅰ|
|ⅣM7|Ⅴ|Ⅲ|Ⅲ|
このパートも基本的にはダイアトニックコード内のコードがそのまま使われています。
「Ⅲ」だけダイアトニックコード外のコード、つまりは『ノンダイアトニックコード』です。
ノンダイアトニックコードは、分析において非常に重要です。以降はこちらの用語を使っていきます。
ノンダイアトニックコード:ダイアトニックコード以外のコード
Ⅲ|Ⅵm
まずは『ノンダイアトニックコード』の「Ⅲ」を見ていきます。
「Ⅲ」はダイアトニックコード一覧では、通常「Ⅲm」「Ⅲm7」ですよね。
普通は『マイナーコード』であるところを、『メジャーコード』として変換して使っていると考えられます。では、こちらの進行ではなぜ『メジャーコード』を使っているのでしょうか?
「Ⅲ」をメジャーで使う理由・・うーん、なんだろう?
「Ⅲ」の次のコードに注目してみましょう。
これは音楽理論的には『セカンダリードミナント』と呼ばれる手法です。
「Ⅲ(C#)」の次の「Ⅵm(F#m)」をⅠ番目のコードと見立てた場合に『ドミナント』であるⅤ番目のコードは「Ⅲ(C#)」となります。つまり「Ⅲ→Ⅵm」というドミナントモーションが成立します。
ここで、理解するために必要な『ドミナント』と『ドミナントモーション』の用語説明を載せます。
「知らなかった!」という方は是非この機会に覚えていってください。
ドミナントコード:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコード
ドミナントモーション:「ダイアトニックコード」における五番目(5度)のコードからI(トニック)に向かうコード進行
『ドミナント』であるⅤの不安定な響きから安定したⅠ(トニック)に向かいたくなる強い結びつきがあり、その性質を利用しています。
完全4度上(もしくは完全5度下)に進むコード進行になっており『強進行』とも呼ばれています。ギターの指板上でいうと以下2つが完全4度上(完全5度下)の位置関係となります。
最もわかりやすい「キー:C」で考えると、ダイアトニックコードの5番目のコード、つまりは「G(G7)」がドミナントコードです。
そして、GからCは完全4度上であり完全5度下の音です。
「Ⅵm(F#m)」を1番目のコードと見立てた場合の「キー:F#マイナー」のダイアトニックコードは次の表のようになります。
Ⅰm | Ⅱm-5 | ♭Ⅲ | Ⅳm | Ⅴm | ♭Ⅵ | ♭Ⅶ |
F#m | G#m-5 | A | Bm | C#m | D | E |
この「Ⅴm(C#m)」を「Ⅴ(C#)」にドミナント化(ドミナントに変形)して使用しています。
(厳密にはハーモニックマイナーキーのダイアトニックコードとなりますが、こちらはまた別の機会に)
「キー:Aメジャー」の曲の中で、一瞬だけ「キー:F#マイナー」の『ドミナントモーション』を利用している。という風に考えることができます。
このように、Ⅰ度以外のコードを1番目のコードとして別のキーを考え、その別のキーの「Ⅴ→Ⅰ」の『ドミナントモーション』を作るためのコードを『セカンダリードミナント』と呼びます。
セカンダリードミナント:ダイアトニックコード「I」以外のコードに対してドミナントモーションを作るために「V(Ⅴ7)」としたコード
ⅣM7|Ⅴ|Ⅵm
続いて、こちらのパートです。
これは見覚えがありますね? はい。「イントロ」で解説しました『順次進行』です。
詳しくはイントロの記載を参照してください。
サビ
続いて、「サビ」を見ていきましょう。
[通常表記](♪足りない足りない誰にも気づかれない〜)
|DM7|E|F#m|A|
|DM7|C#|F#m|A7|
|DM7|E|C#|F#m|
|DM7|E|F#m|F#m|
|DM7|E|
[度数表記](♪足りない足りない誰にも気づかれない〜)
|ⅣM7|Ⅴ|Ⅵm|Ⅰ|
|ⅣM7|Ⅲ|Ⅵm|Ⅰ7|
|ⅣM7|Ⅴ|Ⅲ|Ⅵm|
|ⅣM7|Ⅴ|Ⅵm|Ⅵm|
|ⅣM7|Ⅴ|
サビも、ほとんどダイアトニックコード内のコードが使われています。
それでは、ポイントを解説していきます。
ⅣM7|Ⅴ|Ⅵm
まず最初の部分ですが、こちらはイントロ、Bメロと同様に『順次進行』が使われています。
詳しくはイントロの記載を参照してください。
Ⅲ|Ⅵm
続いてこちら。
ダイアトニックコードの3番目のコードが「Ⅲ」としてメジャーコードになっているパターンです。
こちらはBメロで解説しました『セカンダリードミナント』がまた使われています。
詳しくはBメロの記載を参照してください。
Ⅰ7|ⅣM7
続いてこちら。通常「Ⅰ(ⅠM7)」であるコードが、「Ⅰ7」で『セブンスコード』になっています。
こちら見覚えはありませんか? 少しだけ考えてみてください。・・・
はい。シンキングタイムありがとうございました。こちらも実は「Bメロ」と直前でもありました『セカンダリードミナント』が使われています。
「ⅣM7(DM7)」を1番目のコードと考えた場合に、「Ⅰ7(A7)」は5番目の『ドミナントコード』になります。
「ⅣM7(DM7)」を1番目のコードと見立てた場合の「キー:Dメジャー」のダイアトニックコードは次の表のようになります。
ⅠM7 | Ⅱm7 | Ⅲm7 | ⅣM7 | Ⅴ7 | Ⅵm7 | Ⅶm7-5 |
DM7 | Em7 | F#m7 | GM7 | A7 | Bm7 | C#m7-5 |
「キー:Aメジャー」の曲の中で、一瞬だけ「キー:Dメジャー」の『ドミナントモーション』を利用している。と考えるとわかりやすいかなと思います。
ⅣM7|Ⅴ|Ⅲ|Ⅵm
続いてこちらの進行です。
ベースはかなり有名なコード進行であり、見覚えのある方もいるかもしれません。
どうでしょうか?度数(ディグリー)の数字で考えるとわかるかもしれません。
4536・・4536、なんだっけ?
文字通り超王道なあの進行です!
はい。ありがとうございます。
この進行は『王道進行』と呼ばれており、ポップやロックの曲で特によく使われています。
耳馴染みの良い心地よいメロディを生み出す進行で使い勝手が良いです。
『王道進行』は度数表記で表すと以下となります。非常に沢山の曲で使用されていて、まさに王道な進行です。数字で覚えておくとわかりやすいかつ、忘れにくいのでオススメです!
王道進行(4536進行):IV→V→IIIm→VIm
前半は『IV(サブドミナント)→V(ドミナント)』と進行しており、次に主音であるI(トニック)を期待させる明るい進行です。
後半では、ⅢmからVIm(トニック)への4度進行(強進行)が特徴の暗い進行となっています。
このように、「明るい進行」、「暗い進行」両方の性質を持っており、非常に魅力的な印象を与えるコード進行となっています。
今回は、ダイアトニックコード上では「Ⅲm(Ⅲm7)」で通常マイナーコードであるところ、「Ⅲ」のメジャーコードに置き換えたアレンジ版となっています。
Bメロ、サビでも出てきましたが、「Ⅲ」は『セカンダリードミナント』です。
『王道進行』に『セカンダリードミナント』が組み込まれた合わせ技になっている
と考えることができます。
アウトロ
最後に「アウトロ」です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。あと少しだけお付き合いいただけると嬉しいです!
[通常表記]
|F#m E|A E|F#m E|A E|
|F#m E|A E|F#m E|A E|
|F#m|DM7|
[度数表記]
|Ⅵm Ⅴ|Ⅰ Ⅴ|Ⅵm Ⅴ|Ⅰ Ⅴ|
|Ⅵm Ⅴ|Ⅰ Ⅴ|Ⅵm Ⅴ|Ⅰ Ⅴ|
|Ⅵm|ⅣM7|
「アウトロ」で使われているコード進行は、ほとんどイントロと同じです。
1点ポイントとして、最後の曲の締めは「ⅣM7」で終わっています。
結構ダイアトニックコードの1番目のコード(トニック)で終わる曲が多いのですが、4番目のコード(サブドミナント)で終わることでまだ続きそうな、またふわっとしたような感覚、浮遊感を感じます。
このように、「Ⅳ(ⅣM7)」で終わる曲も意外と多いので、是非頭に入れて置けると良いですよ〜。
まとめ
最後にまとめです。まずは、ここまで本当にお疲れ様でした!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。少しでも皆様にとって意味のある、そして読んでいて楽しい記事が書けていたら嬉しいです。
今回は結束バンドさんの「ギターと孤独と青い惑星」(1番+アウトロ)のコード進行を分析・解説しました。
- 順次進行
- ノンダイアトニックコード
- セカンダリードミナント
- 4度進行(強進行)
- ドミナントコード
- ドミナントモーション
- 王道進行(4536進行)
など、様々な音楽理論知識、アイデア等、学びのポイントがありました。
また、コード進行の分析をしたことで、音楽理論の観点で見てもとても興味深い曲であるということを実感しました。
結束バンドの4人メンバー、ギター2本の歌モノでザ邦ロック、下北ロックという感じのサウンドが大好きです。
アニメのぼっちちゃん覚醒シーンで完全に心を掴まれましたが、曲自体もハマってしまい、気が向いた時はサビのギターをかき鳴らして楽しんでいます。(とても気持ち良いです)
まだまだ勉強中の身ですが、ギター上達と音楽理論の理解を深めることを目指し、引き続きコード進行分析に挑戦していこうと思います。(興味のある方は是非一緒に学習しましょう!)
以下、記事冒頭でも述べました「音楽理論の学習におすすめの本」を紹介しておきます。
私はこの方の説明が本当にわかり易く、理解が進み音楽理論が楽しく学べるようになりました。
その他も色々な記事を書いていますので、よかったら覗いていってもらえたら嬉しいです!
それではまた。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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