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コードネームの仕組みを理解しよう – ギタリスト向け完全ガイド

コードネームの仕組み_サムネ 音楽理論

コードネーム「ルート音+コードタイプ+拡張音」の3要素で構成されています。例えば「Dm7」なら「D(ルート)+m(マイナー)+7(セブンス)」となり、「レ・ファ・ラ・ド」の4音で構成されます。

この仕組みを理解すれば、初見のコードでも構成音が予測でき、ギターでの押さえ方や代替コードの発見が容易になります。音楽理論の基礎として、すべてのギタリストが習得すべき重要なスキルです。

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  1. コードネームの基本構造と読み方
    1. コードネームの3つの構成要素
    2. 基本的な記号体系
    3. 読み方の実例
  2. コードの構成要素(ルート・3度・5度・7度)
    1. インターバル(音程)の基礎
    2. 基本三和音の構造
    3. 7度音の追加パターン
  3. 具体例で学ぶコード分析方法
    1. Step1: ルート音の特定
    2. Step2: コードタイプの判別
    3. Step3: 拡張音の追加
    4. Step4: ギター指板での確認
    5. 楽曲での実例分析
  4. よくある記号と省略表記の落とし穴
    1. 落とし穴1: メジャー7thの表記混同
    2. 落とし穴2: sus4とadd9の違い
    3. 落とし穴3: 分数コード(スラッシュコード)の読み方
    4. 落とし穴4: 異名同音の表記
  5. ケース別Q&A
    1. Q1: 「C6」と「Am/C」は同じ構成音だけど、使い分けは?
    2. Q2: テンションコードの数字(9、11、13)はどう読むの?
    3. Q3: 「omit」や「no」が付いたコードはどういう意味?
    4. Q4: 同じコードネームでも押さえ方が複数あるのはなぜ?
    5. Q5: ジャズコードとポップスコードで表記が違うことがある?
  6. ギタリスト向け実践ツールとコード早見表
    1. 基本コードタイプ一覧表
    2. ギター指板でのコード構成音確認方法
    3. コード進行での実践チェックリスト
    4. 頻出コード変化パターン
  7. まとめ
    1. 🔑 重要ポイントの再確認
    2. 💡 次のステップ
    3. 🎸 実践のコツ
  8. 用語集
    1. ルート(Root)
    2. トライアド(Triad)
    3. セブンス(7th)
    4. テンション(Tension)
    5. ヴォイシング(Voicing)
    6. インヴァージョン(Inversion)
    7. オルタード(Altered)
    8. エクステンション(Extension)
    9. サブスティテューション(Substitution)
    10. ドミナントモーション
    11. クロマチック
    12. ディアトニック
    13. モーダル
    14. ポリコード
    15. クラスター
  9. 参考文献・出典
    1. 学術・教育機関
    2. 専門書籍
    3. 国際的標準

コードネームの基本構造と読み方

コードネームの3つの構成要素

コードネームは以下の3要素で構成されます。

  1. ルート音(Root): コードの基準となる音
  2. コードタイプ(Quality): 長調・短調・減和音などの種類
  3. 拡張音(Extensions): 7度、9度、11度などの追加音

基本的な記号体系

メジャーコード(長三和音):

  • 記号: 何も付けない、またはM、maj
  • 例: C、CM、Cmaj
  • 構成: ルート+長3度+完全5度

マイナーコード(短三和音):

  • 記号: m、min、-
  • 例: Dm、Dmin、D-
  • 構成: ルート+短3度+完全5度

セブンスコード:

  • 記号: 7(ドミナント7th)、M7やmaj7(メジャー7th)
  • 例: G7、CM7
  • 構成: 三和音+7度音

読み方の実例

複雑なコード例「F#m7♭5」の分解:

F# : ルート音(ファ#)
m  : マイナー(短3度)
7  : セブンス(短7度)
♭5 : フラット5(減5度)

構成音: F#・A・C・E

コードの構成要素(ルート・3度・5度・7度)

インターバル(音程)の基礎

コード構成を理解するために重要な音程関係

音程名半音数Cからの例
完全1度0C
短2度1D♭
長2度2D
短3度3E♭
長3度4E
完全4度5F
減5度6G♭
完全5度7G
増5度8G#
短6度8A♭
長6度9A
短7度10B♭
長7度11B
完全8度12C

基本三和音の構造

メジャートライアド(長三和音):

  • 構成: ルート+長3度+完全5度
  • C: C・E・G(ド・ミ・ソ)

マイナートライアド(短三和音):

  • 構成: ルート+短3度+完全5度
  • Cm: C・E♭・G(ド・ミ♭・ソ)

ディミニッシュトライアド(減三和音):

  • 構成: ルート+短3度+減5度
  • Cdim: C・E♭・G♭

オーギュメントトライアド(増三和音):

  • 構成: ルート+長3度+増5度
  • Caug: C・E・G#

7度音の追加パターン

ドミナント7th(属七の和音):

  • 表記: 7
  • 構成音: メジャートライアド+短7度
  • G7: G・B・D・F

メジャー7th:

  • 表記: M7、maj7、△7
  • 構成音: メジャートライアド+長7度
  • CM7: C・E・G・B

マイナー7th:

  • 表記: m7
  • 構成音: マイナートライアド+短7度
  • Dm7: D・F・A・C

マイナーメジャー7th:

  • 表記: mM7、m△7
  • 構成音: マイナートライアド+長7度
  • CmM7: C・E♭・G・B

具体例で学ぶコード分析方法

Step1: ルート音の特定

コードネームの最初のアルファベットがルート音です。

:

  • Em7 → E(ミ)がルート
  • F#dim → F#(ファ#)がルート
  • B♭M7 → B♭(シ♭)がルート

Step2: コードタイプの判別

ルート音の後ろの記号でコードの性質を判断:

判別表:

記号なし/M/maj → メジャーコード
m/min/-       → マイナーコード  
dim/°         → ディミニッシュコード
aug/+         → オーギュメントコード
sus4          → サスペンデッドフォース(サスフォー)
sus2          → サスペンデッドセカンド(サスツー)

Step3: 拡張音の追加

基本の三和音に追加される音を確認:

実例分析「Am7♭5」:

A     → ルート音(ラ)
m     → マイナー(短3度:ド)
7     → セブンス(短7度:ソ)
♭5    → フラット5(減5度:ミ♭)

構成音: A・C・E♭・G

Step4: ギター指板での確認

Am7♭5の押さえ方例:

1弦: X(弾かない)
2弦: 1(C:ド)
3弦: 0(G:ソ)
4弦: 1(E♭:ミ♭)
5弦: 0(A:ラ)
6弦: X(弾かない)

楽曲での実例分析

「Autumn Leaves」のコード進行分析:

| Cm7  | F7   | B♭M7 | E♭M7 |
| Am7♭5| D7   | Gm   | Gm   |

各コードの構成音:

  • Cm7: C・E♭・G・B♭
  • F7: F・A・C・E♭
  • B♭M7: B♭・D・F・A
  • E♭M7: E♭・G・B♭・D

よくある記号と省略表記の落とし穴

落とし穴1: メジャー7thの表記混同

間違いやすい表記:

C7   → ドミナント7th(短7度)
CM7  → メジャー7th(長7度)
Cmaj7 → メジャー7th(長7度)  
C△7  → メジャー7th(長7度)

覚え方: 「7」だけならドミナント7th、「M」「maj」「△」が付いたらメジャー7th

落とし穴2: sus4とadd9の違い

sus4(サスフォー):

  • 3度音を4度音に置き換え
  • Csus4: C・F・G(3度音Eが消える)

add9(アドナインス):

  • 3度音はそのまま、9度音を追加
  • Cadd9: C・E・G・D(3度音Eは残る)

落とし穴3: 分数コード(スラッシュコード)の読み方

表記例: C/E、Am/C、G/B

意味:

  • スラッシュの左 → 上の構成音
  • スラッシュの右 → ベース音(最低音)

C/Eの構成:

  • 上部構造: Cメジャーコード(C・E・G)
  • ベース音: E
  • 実際の音: E・C・E・G(ベースがE

落とし穴4: 異名同音の表記

同じ音でも表記が異なる場合があります:

G# = A♭
C# = D♭  
F# = G♭

楽曲のキーによる使い分け:

  • キーE → F#を使用
  • キーF → G♭を使用

ケース別Q&A

Q1: 「C6」と「Am/C」は同じ構成音だけど、使い分けは?

A: 構成音は同じ(C・E・G・A)ですが、音楽的機能が異なります:

  • C6: Cメジャーコードに6度音を追加した安定したコード
  • Am/C: Amコードのベースがクリシェ(経過音)的にCになった形 楽曲の文脈とベースラインの動きで判断します。

Q2: テンションコードの数字(9、11、13)はどう読むの?

A: オクターブを超えた拡張音を表します:

  • 9th: 2度音のオクターブ上(C9ならD音)
  • 11th: 4度音のオクターブ上(C11ならF音)
  • 13th: 6度音のオクターブ上(C13ならA音)

通常、9thには7度音も含まれます(C9 = C・E・G・B♭・D)。

Q3: 「omit」や「no」が付いたコードはどういう意味?

A: 特定の構成音を「省略する」という意味です:

  • Comit3: 3度音を省略(C・G)
  • C7no3: 3度音なしの7thコード(C・G・B♭)
  • Gno3: 3度音なしのGコード(G・D)

パワーコード(5thコード)も実質的にはomit3です。

Q4: 同じコードネームでも押さえ方が複数あるのはなぜ?

A: ギターは同じ音を複数のフレットで演奏できるため、様々なヴォイシング(音の配置)が可能です:

  • クローズドヴォイシング: 構成音が密集
  • オープンヴォイシング: 構成音が分散
  • ドロップヴォイシング: 最高音を1オクターブ下げる

楽曲のキーやメロディーに応じて最適な押さえ方を選択します。

Q5: ジャズコードとポップスコードで表記が違うことがある?

A: ジャンルによって慣例的な表記の違いがあります:

ジャズ系:

  • メジャー7th → △7
  • マイナー → -(ハイフン)
  • ディミニッシュ → °

ポップス系:

  • メジャー7th → M7、maj7
  • マイナー → m
  • ディミニッシュ → dim

ギタリスト向け実践ツールとコード早見表

基本コードタイプ一覧表

コードタイプ記号構成音(Cの例)特徴
メジャーC, CMC・E・G明るい響き
マイナーCmC・E♭・G暗い響き
ドミナント7thC7C・E・G・B♭不安定、解決したくなる
メジャー7thCM7C・E・G・B洗練された響き
マイナー7thCm7C・E♭・G・B♭ジャズ的な響き
ディミニッシュCdimC・E♭・G♭緊張感のある響き
オーギュメントCaugC・E・G#浮遊感のある響き
サス4Csus4C・F・G浮遊感、解決感を求める

ギター指板でのコード構成音確認方法

5弦ルートCコードの構成音マップ:

|------|------|------|------|------| ← 1弦
|------|------|--●--|------|------| ← 2弦(E)
|------|------|--●--|------|------| ← 3弦(C)  
|------|------|--●--|------|------| ← 4弦(G)
|--●--|------|------|------|------| ← 5弦(C)
|------|------|------|------|------| ← 6弦
   3f     4f     5f     6f    7f

コード進行での実践チェックリスト

楽曲分析時のコードネーム解読手順:

□ Step1: ルート音を特定(最初のアルファベット)

□ Step2: コードタイプを判別(m、7、dim等)

□ Step3: 拡張音・変化音を確認(♭5、#11等)

□ Step4: 分数コードの場合はベース音を確認

□ Step5: ギター指板上での押さえ方を検索

□ Step6: 楽曲のキーとの関係を分析

頻出コード変化パターン

ドミナントの変化:

G7 → G7alt → G7#11 → G7♭13

マイナー系の変化:

Dm → Dm7 → Dm9 → Dm6

メジャー系の発展:

C → CM7 → C6/9 → Cadd9

まとめ

コードネームは音楽理論の基礎として、すべてのギタリストが習得すべき重要なスキルです。この記事で解説した内容を要点整理すると以下の通りです。

🔑 重要ポイントの再確認

1. コードネームの3要素構造

  • ルート音: コードの基準音(C、F#、B♭など)
  • コードタイプ: 長調・短調・減和音などの性質
  • 拡張音: 7度、9度、テンション音などの追加要素

2. 実践的な活用方法

  • 楽曲分析でのコード機能理解
  • ギター指板での効率的な押さえ方発見
  • 他の楽器奏者との円滑なコミュニケーション

3. 学習の進め方

  • 基本三和音から段階的に拡張音を学習
  • 実際の楽曲で理論を実践確認
  • 異なるヴォイシングでの演奏経験を積む

💡 次のステップ

コードネームを理解したら、以下の学習に進むことをおすすめします:

  • コード進行理論: 機能和声とコードの繋がり
  • スケールとの関係: 各コードで使用可能なスケール
  • リハーモナイゼーション: より洗練されたコード選択
  • ヴォイシング研究: 同じコードの様々な響き方

🎸 実践のコツ

日々の練習で以下を心がけましょう:

  • 新しいコードは必ず構成音を確認
  • 楽曲のコード進行を理論的に分析
  • 同じコードでも異なるポジションで演奏
  • 他のギタリストとのセッションで理論を実践

コードネームの仕組みを理解することで、ギター演奏の表現力と理解力が格段に向上します。継続的な学習と実践により、音楽理論を演奏に活かせるギタリストを目指しましょう。

用語集

ルート(Root)

コードの基準となる音。コードネームの最初に記される音

トライアド(Triad)

3つの音で構成される基本的な和音(三和音)

セブンス(7th)

基本の三和音に7度音を加えたコード

テンション(Tension)

9度、11度、13度などの拡張音。コードに色彩感を与える

ヴォイシング(Voicing)

コード構成音の配置や順序。同じコードでも響きが変わる

インヴァージョン(Inversion)

転回形。ルート以外の構成音を最低音にしたコード

オルタード(Altered)

変化音を含むコード。特にドミナント7thコードの変化形

エクステンション(Extension)

7度以上の音程を含む拡張されたコード

サブスティテューション(Substitution)

代理コード。元のコードの代わりに使える別のコード

ドミナントモーション

属和音から主和音への強い解決進行(V→I)

クロマチック

半音階的な音の動き

ディアトニック

特定のキー内の音のみで構成されるコード

モーダル

教会旋法に基づくコード進行やハーモニー

ポリコード

2つ以上のコードを重ねた複合コード

クラスター

隣接する音程で構成される密集和音

参考文献・出典

学術・教育機関

  1. バークリー音楽大学「現代ハーモニー理論」
  2. 国立音楽大学「和声学概説」
  3. 東京音楽大学「ジャズ理論基礎」

専門書籍

  1. 「ギタリストのためのコード理論」(リットーミュージック)
  2. 「実践コードワーク」(中央アート出版社)
  3. 「ジャズ・ハーモニー入門」(音楽之友社)
  4. 「コード進行スタイル・ブック」(リットーミュージック)

国際的標準

  1. Real Book(ジャズスタンダード集)
  2. Berklee Jazz Standards(バークリー版)
  3. The New Grove Dictionary of Music(音楽事典)

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